アイアンの看板、曲線のバルコニー。 よく見ると、左右対称でもなく、少し歪んでいる。 でも、その不完全さが、街に表情を与えています。
南フランスの建物は、 「揃えること」よりも 「らしさを残すこと」を選んできたように見えます。
住まいづくりでも、 完璧さを求めすぎると、 暮らしが入り込む余地がなくなってしまう。
ラフェルムの家づくりでは、 住み手が手を加え、時間とともに変化していくことを、 前提として考えています。 暮らしながら完成していく家。 それは、とても贅沢なことだと私たちは思うのです。
並ぶ建物は、どれも新築ではありません。 けれど、どの建物にも「今」があります。 使われ、手を入れられ、 また次の人へと受け継がれていく。
壁の色むらや、シャッターの傷、 それらはマイナスではなく、時間の積み重ねそのもの。
日本の古民家と同じように、 フランスの街もまた、 「壊して新しくする」のではなく、 「活かしながら続けていく」文化が根づいています。
ラフェルム神戸が古民家や中古住宅のリノベーションを大切にする理由も、 ここにあります。 過去を否定せず、今の暮らしに調和させること。 それは、とても創造的な行為だと感じています。
川沿いに連なる建物と、小さなショップ。 布が揺れ、家具が外に並び、植物が無造作に置かれている。 「見せるため」ではなく、「そこにあるから置いている」 そんな自然さが、この風景をつくっています。
南フランスでは、 暮らしと仕事、内と外、その境界がとても曖昧。 店の奥に生活があり、 生活の延長に店がある。
ラフェルムが大切にしているのも、 この曖昧さの心地よさです。 家だけれど、少し開かれている。 お店だけれど、暮らしの匂いがする。
きちんと分けないからこそ生まれる、 あたたかさや安心感が、ここにはあります。
街を歩いていると、時間の流れが明らかに違うことに気づきます。 白い服のご夫婦が、肩を並べて歩いていく。 目的地があるはずなのに、急ぐ気配はありません。
この街では、 「早く着くこと」よりも 「歩いている時間そのもの」が大切にされているように感じてしまいます。
日本の暮らしでは、 効率やスピードが正解になる場面が多いけれど、 本当は、暮らしに必要なのは“余白の時間”なのかもしれません。
住まいも同じ。 動線が良い、収納が多い、それだけでは語れない。 ふと立ち止まりたくなる場所や、 何もしない時間を受け止めてくれる空間があること。 それが、暮らしの豊かさにつながっていくのだと思います。
「Restaurant」「Salon de thé」と書かれた看板。 木陰のテーブルで、ゆっくりと過ごす人たち。
何をするわけでもない午後。 それでも、心は満たされています。
フランスに憧れる理由は、 こうした何でもない時間を大切にする文化にあります。
ラフェルム神戸がつくりたいのは、 旅先で感じたこの感覚を、 日本の日常にそっと持ち帰ること。
憧れを、夢で終わらせず、 暮らしとして形にする。 それが、ラフェルム神戸の家づくりです。